上原善広『路地の子』新潮社


ひさしぶりに面白い本に出会った。

一気に読破。

半分ノンフィクションのルポタージュと半分エッセイといった感じ。もちろん創作は入っていないと思いますが

自分の親を題材に選び、かつ同和問題や政治家や右翼との癒着など底なし沼に入り込んでしまうところを、つかず離れずの距離感を保ったまま書き進めている。

最後の三行で唐突に話者が三人称から「私」という一人称に転じるところは、違和感を覚えたが、実は「あとがき」が書きたくてこの本を書いたのだろうと

勝手にガッテンがいっている。それゆえに半分ノンフィクション、半分エッセイとなる。

べつに悪く言っているのではなく、このした手法により、より「路地」というものがリアルにわたしたちの前に現れる。

作者は時に、対象に肉迫し感情移入し、また時には冷徹に観察者の目に戻る。

つかずはなれずといったところか

この対象との距離感をうまくとれたことは作者にとって今後良い方向に進むのではないかと思います。今後の作品に期待します。

『路地の子』上原善広著
『路地の子』上原善広著 新潮社

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